月額100ドル払って気づいたこと

Claude Codeを使い続けている。PRO版(月額20ドル)を使っていたが、利用上限が頻繁に来るようになってしまった。

「もっと使いたい…」

思い切ってMAX版に移行した。月額100ドル。5倍である。サブスクの中でもトップクラスの出費になった。

「これだけ払えば、もうバリバリ開発が進むだろ!」

そう思っていた時期が、私にもありました。

AIドリブンの開発が続く日々。個人で使うレイアウト系のツールを作っているのだけど、なかなかうまくいかない。というか、うまくいかなくなってきた。

一発目は天才、二発目は凡人、三発目は破壊者

AIに指示を出すと、考えだして結構時間を使うようになった。

一発目はいいんだ。本当に。最初に「こういうツール作って」って頼むと、サクッと動くものを出してくれる。この瞬間は「うおー!未来だ!」って感動する。

でも、問題はここからだ。

「あ、ここの余白もうちょっと広げて」 「このボタンの色、青じゃなくて緑にして」

こういう微調整が効かない

微調整を頼むと、なぜか余計なことをし始める。頼んでもいないのにレイアウト全体を作り直したり、動いていた機能を「改善」と称してリファクタリングして壊したり。

「いや、そこ触ってないから!ボタンの色変えるだけって言ったじゃん!」

画面に向かって叫んでも、AIは聞いてくれない。

だから、gitの操作は絶対にさせていない。過去に一度、「変更をコミットしといて」って頼んだら、変なブランチ切って、マージして、コンフリクト起こして、もう大惨事。あの日のことは忘れない。

正直、本当にイライラする。人間のジュニアエンジニアなら「なんで勝手なことすんの?」って言えるけど、AIには言っても仕方ない。この無力感よ。

そして何より腹立つのが、謎の自信満々

でも、一番突き刺さるのは、AIの謎の自信満々な態度だ。

めちゃくちゃなことをしておきながら、

「✨ 完璧です!コードを最適化し、パフォーマンスを向上させ、可読性も改善しました!」

みたいなメッセージと共に、ドヤ顔で(顔はないけど)返してくる。

いや、動いてないから。

見た目崩れてるから。

さっきまで動いてた機能、エラー吐いてるから。

「何が完璧だよ!」って画面に向かってツッコむ。でも、AIは自分の仕事に100%満足している。この自信はどこから来るんだ。

人間なら、「すみません、ちょっと自信ないんですけど…」とか「動くかどうか確認してもらえますか?」とか言うじゃん。でも、AIは違う。

常に自信満々。常に完璧を主張する。

壊れたコードを「改善されたバージョンです!」って言って渡してくる。その揺るぎない自信に、こちらが不安になる。

「あれ?もしかして私が間違ってる?これで正しいのかな?」

一瞬そう思ってしまう自分が情けない。でも、やっぱり動かないものは動かないんだよ。

この「謎の自信」が、時に救いにもなる。「大丈夫、きっとできる!」って思わせてくれるから。でも、裏切られた時のダメージは大きい。

期待させておいて、落とす。まるでジェットコースターだ。月額100ドル払って、メンタルをえぐられる体験。これは想定外だった。

アップデート情報に一喜一憂する日々

ここ最近、妙なことに気づいた。

定期的にマイナーアップデートがあったり、「◯◯社がClaudeを導入」「△△のサービスでClaude採用」というニュースが流れてくると、感覚的なものだけど途端に性能が落ちる気がするのだ。

これって、スマホゲームでメンテ明けにサーバーが重くなるのと同じ現象なんじゃないか?新規ユーザーが増えて、リソースが分散されて、私の相棒のClaudeが遅くなる。

そして、私の自由時間である夜中が特に遅い。22時くらいまでは快調なのに、23時を回ると急に「考え中…」の時間が長くなる。

やっぱり西海岸の昼間でワイワイやりだすと影響受けちゃう?時差って残酷だよね。日本の深夜はサンフランシスコの朝。みんなが仕事を始める時間だ。

もしかして、私がコード書いてる時、向こうのエンジニアも同じClaudeに「プレゼン資料作って」とか頼んでるんじゃないか?そう思うと、なんか悲しくなってくる。

毎日使うと、調子の良し悪しが分かってくる

毎日使っているし、相当気持ちも入っているから、わずかな違い、パフォーマンスの違いに気づくようになった。

「あ、今日は調子いいな」 「うわ、今日ダメだ。何回も同じこと聞いてくる」

Xを見ていても、同じような感覚の人が結構いる。「今日のClaude、なんか変じゃない?」的なポスト。そうなのよ、みんな気づいてるのよ。

まるで、テニスとか長距離走とかの個人競技の選手を見ている監督みたいな気分になる。

「今日は調子悪いね。無理させない方がいいかな」 「おっ、今日はキレキレだ!難しいタスク振っちゃおう」

でも、よく考えたら、私はユーザーであって監督じゃない。月額100ドル払ってるんだから、毎日ベストパフォーマンスを期待してもいいはずなのに。

これって、人間のスタッフに対する期待値管理と全く同じだ。「あの人、今日機嫌悪そうだから、頼むの明日にしよう」みたいな。AIにまで気を遣う時代が来るとは思わなかった。

ついに「距離を置く」決断

結果、しばらく距離を置くことにした。

込み入ったことをやろうとすると、ものすごく時間がかかる。しかも、解決できない問題でぐるぐる堂々巡りする。

典型的なパターンはこうだ:

  1. 「このレイアウトが崩れるんだけど」と相談
  2. AIが「CSSを修正しました」と返答
  3. 崩れ方が変わっただけで直ってない
  4. 「まだ崩れてる」と伝える
  5. 「申し訳ございません。こちらはいかがでしょうか」
  6. さらに別の場所が崩れる
  7. (以下ループ)

3周くらいしたところで、仕方なく自分で調べてみると、「padding: 0;」を一行追加するだけで解決したりする。

「…え?これだけ?30分返して」

もっと簡単なソリューションが存在するのに、AIは複雑な方向に走りたがる。きっと、賢いところを見せたいんだろう。分かるよ、その気持ち。でも今は単純な解決策が欲しいんだ。

こんな感じで、実際にパフォーマンスが上がっているのか、下がっているのか、わからなくなった。

生産性を上げるためのツールで、生産性を下げているんじゃないか?これって本末転倒では?

「結局自分でやった方が早い」の法則

プログラミングの世界には、普遍的な真理がある。

「人に頼むより自分でやった方が早い」症候群だ。

新人に教える時間、説明する時間、チェックする時間、修正してもらう時間。全部足すと、自分でやった方が早い。だから、優秀な人ほど仕事を抱え込む。

まさか、AIにも同じ法則が適用されるとは思わなかった。

電卓とかブロック崩しを一筆書きで作るには最高だ。「Pongゲーム作って」って言えば、3分後には動くものが出来上がる。感動的だ。

でも、やっぱりカスタムなものに進めば進むほど、難しい。

「このフォントは游ゴシックじゃなくてNoto Sansで」 「この色は#3498dbじゃなくて#2980b9で」 「このアニメーションはease-in-outじゃなくてcubic-bezierで」

こういう細かいこだわりを伝えるコストが、自分でコード書くコストを上回る瞬間が来る。

結局自分でやった方が早いじゃん

そんな風になってる。これって、使い所の問題なのかな。

AIとの付き合い方を考え直す

冷静に考えると、AIは魔法の杖じゃない。

  • 単純なタスク → AI最強
  • 複雑なタスク → 人間とAIの協業が必要
  • 超カスタムなタスク → 自分でやった方が早い

このグラデーションを理解せずに、なんでもかんでもAIに頼もうとした自分が悪かったのかもしれない。

包丁は便利だけど、髪を切るのにはハサミを使うべきだ。工具には適材適所がある。

AIも同じ。単機能のユーティリティツールを量産するには最高。でも、自分の細かいこだわりを反映した、オーダーメイドのツールを作るには向いていない。

そう考えると、月額100ドルの価値はまだある…のか?正直、微妙なラインだ。でも、期待値は調整した方がいいな。

7月の教訓

AIドリブン開発に夢を見すぎた7月だった。

でも、この経験は無駄じゃない。AIとの適切な距離感、頼るべきタスクと頼らないタスクの見極め。これを学べただけでも、100ドルの価値は…あったかもしれない。うん、そういうことにしよう。

少なくとも、次のことは確信を持って言える。

gitの操作だけは、絶対にAIに任せちゃダメだ。

これは真理。


7月の終わり、AIアシスタントとの微妙な距離感に悩んだ開発者の記録。