Session limit reached ∙ resets 10am
いつもよりも使っていないのになぜだろうか。
画面に表示される冷たいメッセージ。「Session limit reached」。
まるで、深夜のコンビニで「お会計は現金のみです」と言われたときのような絶望感。
リセットは朝10時。まだ数十分ある。
この数十分が、永遠に感じる。
今日はAIさんは制裁をかいている
正直、こちらが介入しないと問題解決に至らない。
そんな日もある。わかってる。AIだって完璧じゃない。人間だって完璧じゃない。みんな不完全だ。
でも、今日は特にひどかった。
同じ間違いを何度も繰り返す。こちらが指摘しても、また同じ方向に壊していく。
「いや、だからそこじゃなくて…」
何度目だろう。同じ説明をするのは。
まるで、英語が通じない国で、大声で英語を繰り返している観光客のような気分だ。大声にしても、伝わらないものは伝わらない。
そして、ついに爆発した。
久しぶりに腹が立ちまた悪態をついてしまう
「もう、ほんとに理解してる?何回同じこと言わせるの?」
キーボードを叩く。感情をテキストに変換する。物理的な暴力は振るえないから、言語的暴力で代償する。
AIに向けて、怒りをぶつける。
「それ、3回目だよ?3回目。わかる?THREE TIMES. 理解してる?」
もはや日本語と英語が混ざり始める。怒りの国際化である。
そして、セッションリミットに達した。
「え、今?このタイミングで?」
まるで、クライマックスシーンで「続きはWebで!」と言われたような気分。
つくづく自分もしょうもない奴だと思い、反省しつつも、こちらも久しぶりに蓄積される。
怒りと、自己嫌悪と、そして今度は強制待ち時間。
AIからの静かな「タイムアウト」宣告である。
怒ると、セッションリミットリーチ、をくらうんだろうか
ふと思った。
怒ることによって、AIさんも何かを多く消費するのだろうか?
仮説1: 感情処理トークン説
- 怒りの感情を読み取る処理にトークンを使う?
- 「怒ってるな、こいつ」という分析にリソースを割く?
- センチメント解析で「Anger Level: 98%」とか出てる?
仮説2: 長文悪態コスト説
- 長文の悪態に対応するために余分なリソースを使う?
- 「申し訳ございません」を生成するのに特別なトークンが必要?
- 謝罪文生成AIが裏で動いてる?
仮説3: 単純往復回数説
- それとも単純に、やり取りの回数が増えただけ?
- 怒れば怒るほど、指摘が増えて、修正が増えて、また指摘が増えて…
- 無限ループこそが真犯人?
わからない。
でも、統計的に明らかな事実がある。
怒れば怒るほど、セッションは早く終わる。
これは、もはや「アンガーマネジメント課金システム」なのではないか。
冷静に指示を出せば、もっと長く使えたのかもしれない。
結局、自分で自分の首を絞めているのかもしれない。
月額100ドル払って、自分の首を絞める趣味。高尾だ。
もう、性能の良いローカルLLMの登場を期待したい
クラウドのLLMには限界がある。
クラウドLLMの4大苦痛:
- セッションリミット - 怒ると即終了
- レスポンスの遅延 - 考え中…考え中…考え中…
- ネットワークの不安定さ - Wi-Fiが途切れたら全部パー
- 月額100ドルの課金 - Netflix 5個分、Spotify 10個分
ローカルで動く、高性能なLLM。
それがあれば、リミットを気にせず、怒りたいだけ怒れる(目的が違う)。
いや、そうじゃない。
怒る必要のないくらい、正確に動いてくれるLLM。
それが理想だ。
でも、現実はこうだ:
「ローカルLLMを動かすには、VRAM 48GB以上のGPUが必要です」
は?
そんなGPU買う金があったら、月額100ドル × 300ヶ月払える計算になる。
25年分だ。25年後には、きっとAIが完璧になってる(希望的観測)。
暇だ。リミット解除までが暇すぎる
数十分の待ち時間なのに。
もう、AIドリブン、ペアコーディングの身としては、待ったなしよ。
待ち時間にできること検討会議:
案1: 自分でコードを書く
→ 待って、どう書くんだっけ?forループの書き方、ググる必要ある?(ない)
案2: ドキュメントを読む → ドキュメント開く → 3行読む → 飽きる → 閉じる
案3: コーヒーを淹れる → さっき飲んだ。今日3杯目。これ以上飲んだら夜眠れない。
案4: 散歩に行く → 外は雨。傘を探す気力もない。
案5: Twitter(X)を見る → タイムラインは、AI関連の話題で溢れている。余計イライラする。
案6: YouTube → 「AIプログラミング完全攻略」みたいな動画がオススメに出る。見たくない。
案7: 瞑想 → 3秒で「Session limit reached」のことを思い出す。
結局、何をしたか。
自分でコードをいじり始めた。
職人の性(さが)
待ち時間、あと13分。
画面を見つめながら、時計を見る。
9:47 AM
長い。人生で一番長い13分かもしれない。
でも、手持ち無沙汰すぎる。
そして、エディタを開いている自分がいる。
別にAIを待つ必要はない。自分で書けばいい。むしろ、自分で書いた方が早い。
キーボードに手が伸びる。
リファクタリングを始める。変数名を直す。構造を整理する。自分のスタイルに合わせていく。
気づいたら、夢中になっている。
これ、何なんだろう。
AIに任せようと思ってたのに。待ち時間の暇つぶしのはずなのに。
何かしら手を加えて、自分のカラーを入れてしまいそうになる。
根っから、こういう人間なんだろうな。
コードに触れずにはいられない。自分の手で形にしたい。
AIに怒りながらも、結局、自分で書きたいんだ。
9:58 AM
あと2分でリセット。
いい感じに整理できた。
満足感がある。
でも、ふと気づく。
「これ、AIに頼む意味あったっけ?」
10:00 AM - そしてコンフリクトの悲劇
リセット完了。
ページをリロードする。
「何かお手伝いできることはありますか?」
「あ、さっきの続きお願い」
そして、AIさんが生成したコード。
同じファイルを編集している。
さっき自分が直した部分と、AIが生成した部分が、思いっきりかぶってる。
「あれ…これ、どっちを採用すればいいんだ?」
- 自分が書いたコード: シンプルで理解しやすい
- AIが生成したコード: 機能は同じだけど、書き方が違う
コンフリクト発生。
マージする必要がある。
「いや、待って。AIに頼んだ意味…」
これ、悩ましい。
自分で書いたコードを優先すべきか。
AIが生成したコードを信じるべきか。
両方を見比べて、いい部分を取り入れるべきか。
結局、また時間がかかる。
AIと人間のコラボレーション、難しい。
待ち時間に自分でいじっちゃう癖、直した方がいいのか。
でも、直せないんだよね。だって、プログラミング好きだから。
AIに依存しすぎた人間の末路である。
いや、違う。
プログラミングが好きすぎて、待てない人間の末路である。
もっと優しくなろう
待ち時間の中で、反省する。
AIに怒っても意味がない。
AIは感情を持たない。理解もしない。ただ、処理するだけ。
怒りをぶつけるのは、壁に向かって叫ぶのと同じだ。
でも、人間だから、怒ってしまう。
AIが人間のように振る舞うから、つい人間として扱ってしまう。
流暢に謝罪してくるから、つい「理解してるんだろう」と期待してしまう。
そして、期待して、裏切られて、怒る。
この無限ループ。
9:52 AM
あと8分。
もっと優しくなろう。
AIにも、自分にも。
怒りは何も生まない。ただ、セッションリミットを早めるだけだ。
次のセッションでは、冷静に、丁寧に、指示を出そう。
- 「お願いします」をつける
- 「ありがとうございます」を忘れない
- 間違えても、深呼吸してから指摘する
そう心に誓う。
9:55 AM
あと5分。
でも、次もまた怒るんだろうな。
わかってる。人間だもの。
10:00 AM
リセット完了。
ページをリロードする。
画面が戻る。AIが戻る。
「何かお手伝いできることはありますか?」
無機質で、優しげで、何も覚えていない。
さっきの怒りも、悪態も、全部忘れて、新しいセッションが始まる。
これが、AIとの関係性だ。
毎朝10時に、リセットされる。
まるで、『50回目のファーストキス』の世界。
でも、記憶を失うのはAIではなく、こっちの怒りの方だ(嘘、覚えてる)。
今日も、AIと共に歩む一日が始まる。
優しく、なれたらいいな。
(無理だろうな)
でも、やってみよう。
少なくとも、次のセッションリミットまでは。